行き先も見えず、多岐亡羊

おじさんがダラダラ書いている日記的なモノ

なぜか未公開。良い映画なのに

 

『 ビリー・リンの永遠の一日 』

原題「 Billy Lynn’s Long Halftime Walk 」

2016年アメリカ映画 日本未公開 アン・リー監督 

【 未見で、鑑賞予定のある方は読まないように 】

 * * * * * * * * * * * * *

 2004年、イラク戦争中のアメリカ。従軍しているビリー・リン特技兵が身を挺して仲間の救助に乗り出す姿を、現場に残されたカメラが偶然捉えた。その報道が話題となり、ビリーは英雄扱いされ、叙勲される。彼とその同僚・ブラボー小隊は凱旋し、軍の宣伝のために駆り出される。休暇最終日、感謝祭でアメリカンフットボールの試合のハーフタイムショーに出演するため、スタジアムへ。出迎えはリムジン。仲間たちは大はしゃぎ。彼らは見るからに若い。隊長を除けば、20代前半くらい。いや、隊長ですら、30歳前後。馬鹿話に花を咲かせ、ふざけあう。軍の正装で身なりは立派だが、中味は普通の若者たち。

 2001年の911テロへの報復から始まった戦争。この時点ですでに「 正義の戦争 」 という見方は薄れ、「 石油のための戦争 」 とみられている。大量破壊兵器も見つからなかった。世間がブラボー小隊を見る目は少し複雑だ。純粋に正義への貢献という敬意もあれば、意味の無い戦争に駆り出された若者たちへの同情、そして、あからさまな蔑視、敵意も。

 ビリー自身もこの戦争への疑問は感じている。独裁者を捕らえたのに戦いは続き、イラク人の憎しみは日毎に増し、なぜか専門外の建設にも携わる。しかし、「 この戦争は間違っている 」 と訴える姉には同意できない。戦争を称賛し、ビリーを英雄視することにも違和感がある。彼だけではなく、同僚たちも同じことを感じている。隊長は、石油と戦争を関連付けて、戦争を称賛する男に威圧的に接してしまう。

 スタジアムでビリーは可愛いチアガール・フェイゾンに一目惚れする。視線に気づいて彼女の方から近づいてきた。ちょっとイイ感じ。もっと深く付合いたいが、部隊は数日後にはイラクに戻ることになっている。ビリーは悩む。

ビリーの姉は、除隊を勧めている。医者にPTSDを訴えれば除隊出来るようで、その準備もしている。意に介さなかったビリーだが、フェイゾンと出会ったことで気持ちも揺らいでいる。仲間たちと離れて除隊するべきか。

 記者会見でビリーは記者から質問される。「 敵と組み合った感想は? 」 ビリーは仲間を救出する際、格闘となりナイフで敵を殺した。「 誇ることは出来ませんが、すべきことをした。 」 ロッカールームで、フットボール選手から同様の質問を受ける。選手たちは「 正直に答えてくれ 」 と言う。どうやら彼らは高揚感、または罪悪感、何等かの答えを求めているようだ。しかし、ビリーは逆に訊き返す。「 タックルした時の気分は? 」ビリーはこの質問に少しウンザリしている。

 * * * * * * * * * * * * *

 ビリーたちはハーフタイムショーに登場する。何をするのか、何も知らされず、何の準備もないうちにブラボー小隊は舞台へ上げられる。これは準備も計画性も無く始まったイラク戦争とその渦に放り込まれた彼らを風刺しているのだろう。ショーの花火、レーザー光線、点滅の中、ブラボー小隊は混乱する。「 ソルジャー 」 を歌うディスティニーズチャイルドの派手なショーとイラクの戦場がカットバックする。ビリーは「 あの日 」 を思い出す。

 ― 先行して突貫したブルーム軍曹。しかし、後続は激しい銃撃で足止めされる。孤立したブルームは民兵に襲撃され、連れ去られようとしている。ビリーは思わず飛び出す。そして、格闘の末、民兵にナイフを突き刺した。民兵はじわじわ血を流して息絶えた。人を殺した生生しい感覚がビリーを襲う。「 何も感じなかった 」 とビリーは言ったが、それは嘘だ。ビリーは明らかに動揺している。そして、ビリーが救出しようとしたブルームも現場で息を引き取った。何とも言えない感情がこみ上げる。

 * * * * * * * * * * * * *

 ビリーの英雄譚を映画にしようと、コーディネイターと出資者が動いている。出資者のノームはアメリカの栄光を信じる男。彼は言う。「 君の物語は、アメリカの物語なんだ。今回の戦争は理想のための戦いだ。君たちはテロへの勝利の先駆けとなった。我々全員がブラボー隊だ。 」しかし、ビリーはそれに賛成出来ない。「 我々の戦いは物語や理想ではなく、我々の人生だ。あなたは何も分からず別のものにしようとしている。 」彼は映画の話を断った。

 帰り際、フェイゾンが会いにやってきた。明らかに脈あり。除隊すべきかどうか、ビリーの心は揺れる。ビリーは彼女に言う。「 このまま、君と逃げたい 」 しかし、フェイゾンは言う。「 逃げる? 再出征でしょ。あなたは英雄なのよ。 」 ビリーの気持ちが一瞬で冷める。フェイゾンが好きなのは、「 ビリー 」 ではなく、「 英雄のビリー 」。

 最後、スタジアムから去るビリーの前には、リムジンではなく、その場に似つかわしくない装甲車が。その中に入ると、死んだブルームがいる。ビリーは彼に言う。「 民間人は何も知らない。でも、ショーを仕切っているのは、彼らだ。彼らの戦争だし、彼らの映画です。 」

 * * * * * * * * * * * * *

 ビリーが経験した現実を誰も共有出来ない。様々な人間が様々な捉え方で、ビリーの物語を勝手に共有しようとする。各々が各々の価値観、視野でこの現実を捉えようとする。でも、結局、誰にも分からない。誰も「 ビリーの現実 」 を理解しようとはしない。一番の理解者である彼の姉ですら。

ビリーは「 あの日 」 を人生最悪の日だと思っている。しかし、その日に起こったことで勲章を貰い、多くの人から称賛されることになった。だから、「 人生最悪の日 」 なんて言えない。ただ、全然誇らしい気にはなれない。そんな複雑な心境を共有してくれるのは、部隊の仲間だけ。隊長は「 お前を誇りに思う 」 と言ってくれる。仲間たちはビリーを信頼し愛している。ビリーも同様。この戦争が正しいのか、間違っているのか、それは分からない。ただ、ビリーは自分が出来ることを仲間たちと成し遂げるために、再び戦地に赴く。

 戦争を賛美する映画でも、反戦映画でも無い。ここで描こうとしているのは、共有することのもどかしさだと思う。安易に理解されるくらいなら、分かってもらわなくて良い。でも、何が起きているかは知ってほしい。茶化す人間に苛立つが、分かった気になっている人間にはもっと苛立つ。軍は政治に動かされる。そして、政治を動かしているのは、市民だ。でも、市民は何も分かっていない。分かってもらうためには、現実を伝える人間が必要だが、やはりそれは自分では無いとビリーは思う。堂々巡りのジレンマ。

 

日常に還る

 

5月14日、全国38県の緊急事態宣言が解除された。21日には関西3府県、首都圏と北海道は31日解除の方向性。
愛知県は14日に解除された。新規感染者はGW前から連日0~5人の範囲。隠れ感染者はどこかにはいるだろうし、第二・三波もやってくるだろう。でも、完全にウィルス根絶が出来ない以上、どこかで経済活動を再開させなければならない。幸い、医療崩壊は起きなかったし、感染者の退院も増えてきた。油断は出来ないが、頃合だろう。日常に還る時。いきなりフルスロットルって訳にはいかないけれど、エンジンを温めて安全を確認しながら馴らし運転で。
そろりそろりと参ろうぞ。

ある記事で、「 BCG接種で日本人は免疫力が高いのだから自粛も必要無かった。緊急事態宣言は間違いだった。 」 と書いていた人がいた。
BCGの効果がまことしやかに噂されている。確かにBCG接種国とコロナ感染死亡者の少なさには相関関係があるようにも見える。将来、有効性が確認されるかもしれない。しかし、現時点では状況証拠に過ぎず、BCGの有効性は何も証明されていない。確かにロシアとインドは接種国で、感染者は増えているが死者はそれほど多く無い。しかし、ブラジルは接種国だが、死者が急激に伸びている。オーストラリアは非接種国だが、それほどの被害は無い。基になった株の違いもあるという話だが、確かなことは何も言えない。「 可能性はある 」 程度。
この方の言っていることは、日本政府はBCGの有効性を信じてイチかバチか賭けに出るべきだったと言っているに等しい。こんなテキトーなことを書く人が文化人として大きな顔して文章を発表しているのだから、困ったものだなあと。

* * * * * * * * * * * * *

欧州の新規感染者も減少傾向にあり、ピークは越えた。
都市封鎖は解除されつつある。しかし、そもそも高い山。日本と比較すれば、依然として厳しい状況にある。今でも、1日100人以上亡くなっている。優等生・ドイツでも50人くらい。日本より多い。
フランスでは、緊急事態宣言は7月11日まで延長。公共交通機関でのマスク着用義務化。違反者には罰金。しかし、移動制限は少し緩和された。待ってました、と言わんばかりに街に人が溢れた。イタリアでは来月頭から外国人観光客の受入れも始める。ドイツでは観光再開を求めるデモ。日本が慎重過ぎるのか、彼らが無謀なのか。

フランスとの国境近くにあるスペインの小さな村のタバコ屋に行列が出来たというニュース。都市封鎖、国境封鎖が緩和されて、フランスから安いタバコを求めて大量にやってきたそうな。
もちろん、村の人は戸惑っている。小さな村では医療施設に余裕も無いだろう。ウィルスに襲われたら一溜りも無い。とりあえずは、駐車場の制限、行列の間隔を確保、店舗に入る人数を制限することで対応している。
日本では、都市から地方へ県を跨ぐ来訪者に神経を尖らせているが、さすが欧州。国境を越えてやってくる。イタリアから欧州全土に広がったのは、欧州サッカーの応援団が国境を移動したことが原因とも言われているのを忘れてしまったようだ。この村に第二波が来ないことを祈るばかり。

* * * * * * * * * * * * *

オバマ前大統領が現政権のウィルス対策を批判した。
そりゃそうだろう。アメリカの死者は9万人を超えた。世界トップを爆走中。10日前には8万人弱だったから、1万人以上増加、1日あたり千人以上。しかも、ウィルスは次の餌食を求めて、東部から南部へ移動した。それでも経済再開させるというのだから、もうボロボロ。これで批判されなかったら、どうかしている。もし、日本で同等の被害が出ていたら、安倍政権は袋叩きだ。というか、今でも袋叩きなのが理解不能。日本の死者はアメリカの100分の1以下。人口の違いを考慮しても、まずまずの成績。確かに安倍さんにはマズい対応はあった。批判される点はある。でも、そんなに辛口でなくてもいい。

トランプ大統領の支持率は下がっている。しかし、劇的に下がっているかというと、そうでもない。反トランプのリベラル系・CNNの調査でもトランプ大統領の支持率は40%以上あった。バイデン候補は勝っているが数ポイントのリードに過ぎない。
医学的に何も証明されていない薬を「 毎日服用している 」 と出鱈目を吹聴する大統領を今でも支持している人が多いことに驚く。私は反トランプではないし、その反グローバル、反移民、反中国の政策は必要なことだと認識している。しかし、コロナ対策は贔屓目で見ても落第点。それでも、責任を感じない大統領と支持する人たち、どうかしている。
まあ、米国内のコロナ対策は日本人には関係無いし、9万人死んだという事実にアメリカ人が不満を感じないなら、それでいい。そもそもアメリカは人が多く死ぬ国だ。麻薬で7万人、銃犯罪で3万人、自動車事故で3万人、インフルエンザが最も猛威を奮った年には6万人。「 神に召された 」 ってことで納得しているのかなあ。

* * * * * * * * * * * * *

WHOは1月31日に緊急事態宣言を発令した。
この時点で、一般市民ですらウィルスの危険性を危惧していたから、感染症対策に取組む世界機関としては、些か悠長なのは間違いない。しかし、アメリカがこれを批判するのは的外れ。アメリカでの最初の死者が2月末だから、WHO発表後に対策しても充分間に合った。しかし、ウィルスを軽視し警戒を怠った。アメリカでこれほど被害が大きいのは中国とWHOの責任ではなく、アメリカ自身の問題。

然しながら、もちろんWHOにも問題はある。中国に忖度しているのは、もはや疑いようも無い。WHOは年次総会への台湾の参加を拒否した。
台湾はコロナ対策で、最も対策が上手くいった国の一つ。新規感染者はこの1か月見つかっていないし、累計感染者440人、死者7人。感染者のうち大部分はすでに退院した。優等生、韓国・ドイツと比べても被害の少なさは歴然。人口1千万人以上の国では一番成功しているんじゃないかな? 当然、その意見を拝聴した方が良い。台湾はオブザーバーの立場で良いと言っている訳だし参加を認めるべき。それを拒否するということは、対策への真剣さが疑われても仕方が無い。口では途上国での被害阻止のために協力を、と呼び掛けているが、本当にその気があるのか。金が欲しいだけだろ、アフリカで感染拡大すれば中国が困るからだろ、と邪推してしまう。

WHOは国際連合の専門機関。これら国際機関に問題ありなのは明白。今更言うことでも無いけれど。コロナ後に変わるといいけれど、どうだろう? より中国の勢いが増すだけかも。中国は初期対応の拙さには触れず、尊大な態度で他国に恩を売り、金とモノ、腕力で他国を跪かせようとしている。EUも切り崩されようとしている。台湾に対しては度量の狭さを世界に示してしまった。そもそも「 一つの中国 」 を認めてきたのは欧米諸国。日本も含めて。台湾と国交があるのは、現在15カ国のみ。小国ばかり。本気で対中国包囲網を敷くというなら、中国と縁を切って台湾と国交回復すれば良い。出来るかなあ? 出来ねえだろうなあ。

中国の傲慢さにウンザリだが、偉そうな割にだらしない欧米にも飽き飽き。果たして、日本は国際社会とどのように付き合っていけば良いのか? 人畜無害な平和主義はこれから通用しない。お人好しは利用されるだけ。日本には戦略が求められる。でも、どんな戦略?
日本の片隅の吹き溜まりで生きている、ちっぽけで頭の鈍い私には、日本がどうすれば良いのか、見当も付かない。頭のキレる人が考えてくれると良いのだけど。下らないことに頭使ってないで。

 

思わぬ・・・

 

一年くらい前か、NHKで著名人の講演を番組にしたものを放送していた。偉い肩書の学者さんに混ざって少し変化球の西原理恵子さんの講演も。その中で、もっと変化球、というか魔球のみうらじゅんさんが講演した回があった。

「 『 オレ、どうかしてるなあ 』 って思うことに快感を覚えるんです。時々、映画館に行くんですけど、『 ボヘミアンラプソディ 』 とか見ると普通じゃないですか。普通なのは嫌なんですよ。だから、『 PとJK 』 とか『 若おかみは小学生 』 とか見るんです。客席は女の子でいっぱいですよ。その中におっさんが一人混ざっているから、視線が痛くてねえ。でも、それがいいんです。『 オレ、どうかしちゃってるなあ 』って。 」

今も昔も胡散臭い。本当に変わり者だ。みうらじゅん
「 どうかしてる 」 部分を特化して、職業にしてしまった稀有な人物。キャッチ―なフレーズも生み出しているのに、表舞台に出てくることは稀で、この人は、どういう収入で生きているだろう、コアなファンに支えられているのだろうか、と甚だ疑問なのだけど、まあ、それはいいや。

この話が妙に記憶に残っていた。すると、先日テレビで、映画『 若おかみは小学生 』 を放映していた。私は自分のことを 『 どうかしてる 』 なんて思いたくない。しかし、興味本位というのもあるし、せっかくなので見てみようと。劇場で、女の子の圧力を感じながら見る訳でも無いし。

若おかみは小学生!
2019年公開 アニメ映画 高坂希太郎監督
【 未見で鑑賞予定のある方は読まないように 】

* * * * * * * * * * * * *

タイトル通り、小学生が若女将になる話。
都会に住む織子、通称おっこ。両親を自動車事故で亡くし、田舎で旅館を営む祖母に育てられることに。児童文学が原作とのことだけど、思ったよりハードな設定。慣れぬ田舎暮らし。蜘蛛やトカゲにビビりまくり。着物にも四苦八苦。失敗の連続。もちろん、客商売なんて初めて。変わり者のお客さんに手を焼き、様々なピンチに陥る。でも、持ち前の元気とバイタリティで乗り越える。祖母や仲居さん、板前さん、旅館の人々も見守ってくれる。皆に支えられて、おっこは逞しく生きていく。

お蝶夫人姫川亜弓力石徹シャア・アズナブル、少年少女の成長物語には、目の上のタンコブ、少し先を往くライバルがいる。本作では、大型リゾートホテル・秋好旅館の跡取り、真月。プライド高く、近寄り難い雰囲気。ピンクのフリフリドレスを常に身に着けていて、「 ピンフリ 」 と陰口を叩かれ、田舎の学校では少し浮いている。ただ、前述した主人公のライバルたち同様、他人に厳しいが自分にも厳しい努力家で、おっこと衝突もするが、良い影響も与える。

と、これだけなら、朝ドラか昼ドラの小学生版、若おかみ成長物語なのだけど、この物語には、少しイレギュラーがある。

* * * * * * * * * * * * *

両親が自動車事故で亡くなった時、おっこも同乗していたが九死に一生を得た。そして、臨死体験したせいか、幽霊が見えるようになってしまった。最初に見えたのは、「 ウリ坊 」。気さくで元気で、少し粗雑な少年。おっこの祖母の幼馴染。真月の姉で、7歳で亡くなった美陽も現れる。妹と同じくプライドが高い。他にも甘いもの好きの鈴鬼。勝手にデザートをつまみ食いしてしまう。いずれも子供で元気の有り余った幽霊、魔物。彼らの巻き起こす騒動におっこは振り回される。しかし、おっこがピンチの時に力を貸し、手助けしてくれる仲間でもある。
原作は全20巻の長物。それを約90分の映画にまとめたから、エピソードは絞っている。おそらく、原作ではこの魔物たちのドタバタがもっと多いのだろう。しかし、本作ではそれ程多くの役割は与えられなかった。
映画の中心線は、おっこが両親の死と向かい合う話になっている。

おっこはトラウマに悩まされる。自動車で高速道路を走っていると、事故の光景が浮かんで、呼吸困難に。物語序盤では、両親の死から立ち直っていたように見えたが、後半にかけて、両親への想いが溢れ出てくる。
クライマックスでは、両親の死の直接の原因となったトラックのドライバーと会ってしまう。彼自身も事故に巻き込まれた被害者で、全身に傷を負い、今も完全には癒えていない。ただ、彼のトラックが両親の命を奪ったと思うと、おっこの感情が爆発する。しかし、乗り越える。「 花の湯温泉の湯は神様から頂いている湯。誰も拒まない。すべてを受け入れて、癒してくれます。 」

ラストは、おっこと真月が奉納祭で神楽を舞う。喧嘩もしたけれど、今は真月のことを少しは理解出来る。少々付き合いが面倒だが、勉強家で見倣う部分も多い。
物語中盤から、おっこは幽霊たちの姿があまりはっきりとは見えなくなってきた。そろそろ彼らは旅立つ時、別れの時が来た。真月には美陽の姿は見えない。でも、落ち込んだ時にどこからか聞こえてくる声に励まされていたようだ。美陽は真月にお別れのキス。
神社の境内で神楽を舞う二人。ウリ坊と美陽も共に舞う。そして、観客の中には、おっこの両親の姿も。しかし、彼らは花吹雪と共に去った。生まれかわっての再会を約束して。残されたおっこ。寂しさはあるが、もう泣かない。しっかりと前を見据えて生きていく。

* * * * * * * * * * * * *

あれ? 意外と面白い。どうせ、子供向けだろ、とヒマつぶしで適当に見ていたら、手痛いしっぺ返しを食らった。みっともないことに、ボロボロ泣いてしまった。思わぬところで思わぬ発見がある。みうらじゅんさんに感謝。でも、この映画、『 オレ、どうかしちゃってる 』 映画でも無い。

検索してみたら、『 PとJK 』の方は、極めて真っ当なラブコメのようだ。おっさんが見ないような。こっちは本当に『 オレ、どうかしちゃってる 』 映画。

 

働き方は変わるのか

 

退屈を持て余した土曜日の午後。ゴロゴロとテレビ番組を見ていたら、なにやら変わったドラマを放送していた。

「 スナイパー時村正義の働き方改革
CBCテレビ制作、脚本 : 政池洋佑、出演 : 高杉亘 高田夏帆
【 未見で、視聴予定のある方は読まないように 】
深夜に放送されていたドラマの再放送のようで、30分番組 × 全3話一挙放送。最近、このフォーマットのミニドラマを見かけるけど、何だろう?

* * * * * * * * * * * * *

建設現場作業員の男が一人、廃倉庫に入ってくる。男は階上の窓際で抱えていた工具入れの蓋を開き、中からライフルを取り出した。本作の主人公・時村は日本政府の秘密組織JIAの腕利きのベテランスナイパー。丁度油の乗った年齢で、仕事への情熱と責任に溢れている。いつものように、黙々と一人で仕事を進めていた。しかし、そんなところにJIA人事部の女性職員、早川が現れた。どうやら時村は、成績はトップだが残業時間も多いようだ。彼女は言う。「 時村さんの働き方を改革しにやってきました。これからは世界の平和を残業ゼロで守ってください 」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「 スナイパーと事務員 」 という非現実的な組み合わせの面白さを描いた作品。二人は同じ集団に所属しているが、考え方、価値観、バラバラ。時村の仕事はJIAの最前線とも言えるもので、いわば花形。世界中に派遣され、実績は豊富。その自尊心からか、時村は自分の武勇伝を聞かせたがる。しかし、相手はイマドキ女子。おっさんの武勇伝など興味は無い。標的の観察能力に優れた時村には、それが分かってしまう。
ドラマの設定が突飛なため、ドラマ自体は普遍的で、人物描写はステレオタイプ。仕事一筋、働くことに生き甲斐を見出す昭和的アナログ中年と仕事とプライベート区切りを付け、デジタル機器を駆使して、何事も効率的に考えるイマドキ女子。仕事中は煙草を我慢した時村の仕事後の一服すらも、「 スモーキングハラスメント 」 と早川に拒否される。二人の世代間ギャップをコメディタッチで描いている。

* * * * * * * * * * * * *

時村は納得したフリをして誤魔化そうとしたが、早川はタブレットを置いて仕事を始めた。現場に残って時村の5時退社を見届けるつもり。JIAはテレワーク推進中とのこと。
そして、退社時間の5時になった。時村はもちろん反発する。「 ターゲットは凶悪なテロリスト。オレが仕留めないと、大変な事件が起こるかもしれない。緊急事態ってことで残業しても良いだろう。 」
しかし、早川も退かない。「 残業でも人は死ぬんです。 」夜勤のスナイパーに引き継ぐとのこと。これはオレの仕事、と粘る時村の頭に銃を突きつけ、有無を言わさず帰宅を迫る。時村は渋々従う。
翌朝9時出勤。もちろん、時村は早目の出勤。この日は動きがあった。ターゲットが姿を現した。しかし、その日は豪雨。視界不良。司令部から作戦中止が伝えられる。しかし、時村は神経を針のように研ぎ澄ませ、引き金を引いた。銃弾は標的を的確に捕らえた。
時村は振り返る。「 いつもの俺なら絶対に撃たない。しかし、今日の俺は冴えていた。なぜなら、家でしっかり寝たからだ。 」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

時村は勘と経験重視、現場の調査なども一人でこなす。ネットの情報に頼らず、現場を歩いて調査。報告書も手書き。甚だ非効率。早川はそんな考え方に否定的。時村に、時短と人を利用した効率化を促す。早川には想いがある。「 何かの映画で 『 事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きているんだ 』って台詞がありましたよね。あれ、少し違和感があって。会議室の人間だって、現場のために戦っている。私は人事部の立場で世界の平和に貢献しようと思っています。 」
一方、早川も時村に学ぶ部分もある。経験の蓄積に基づいたノウハウは軽く見るべきではない。アナログにはアナログの良さがある。古いものには受け継ぐべき良さがあり、新しいものには発見と発想の転換がある。

* * * * * * * * * * * * *

一話完結で舞台の一幕物のような設定。登場場面は狙撃地点だけ。第一話は廃倉庫だが、二・三話では、一軒家の和室、マンションの一室。それに合わせて、時村の扮装も、ゴルフケース背負った休日のサラリーマン、バイオリンケースを抱えた音楽家と変わる。さすがプロフェッショナル。ターゲットの潜む建物など、外の様子は全く映らない。ネットで入手出来る様子と交信、時村と早川の会話で、外の様子を想像する。低予算で知恵を絞ったドラマは好きだ。

* * * * * * * * * * * * *

最近、報道番組のメインキャスターから新型コロナが感染拡大したことがあった。原因となったアナウンサーは43歳。昭和生まれだけど、平成入社。時村と違って、スマホも普通に使いこなせるだろう。それでも、「 オレがやらなきゃ 」 の責任感に捉われる。彼に悪気が無かったことは分かる。しかし、「 無症状でも感染させる恐れ 」 「 発熱した時は隔離が必要 」 と番組内でも言っていたはず。頭では分かっていたはずなのに、仕事人間の呪縛から逃れられない。

「 日本人は働き過ぎ 」
昔から、うんざりするくらい言われているのに、変わらない。欧米と比較して、具体的な数値で働き過ぎ、と言われているのに、変わらない。結局、お上が働きかけても、メディアは反発し、民間企業は動かない。何も変わらない。

一つ言えるのは、時村のような人間は往々にしてタフだということ。明らかに仕事が好きなタイプ。自分のペースを知っているから倒れない。長時間労働が苦にならない。問題はそれに基準を合わせる同調圧力があること。さっさと終わったら、さっさと帰る。これが出来れば良いのだけど、タフ上司がいると、なかなか出来ない。JIAは秘密組織だが、良心的な団体。この組織のように予備の人間をすぐに配置してくれる企業もそれほど多くは無い。切り詰めた社員で一人が抱える仕事量も多い。
コロナ禍で仕事の仕方が変わると言われているが、どうでしょう? 

 

意見を言うこと

 

TV番組での、立川志らく氏の言葉。
「 私はこれがいいのか悪いのか判断つかないです。新型コロナ感染拡大が収束しない中での法改正にはパット見は危険な感じがします。今この時期にこれを進めていいのか? ただ気を付けなきゃいけないのは、みんな印象だけでどんどん広がっていく。コロナのことで政権は物凄く攻撃を受けていますから、これに乗っかって、一気に攻撃しようという気持ちになるのは分かるんだけど。攻撃する時は、ちゃんと法案を読んで、どういうことなのか、ちゃんと理解してから乗っかって行かないと取り返しのつかないことになる。 」

* * * * * * * * * * * * *

検察庁法改正の問題。私も志らくさんと同じ。これが良い事か悪い事か全然分からない。定年を延長するのは、そんなに悪いことなのだろうか? 解説を読んで「 お友達のために法改正しようとしている。私物化だ。 」 との批判は的外れだと分かった。他の批判意見を読むと、要は「 コロナで忙しいのに、今やらなくても。 」。私と同じく、みんなもあまり分かっていないらしい。
確かにコロナ対策は最優先。しかし、企業や投資家が半年、一年後の経済状況を考えて行動するように、政府も今のことだけ考えていれば良い訳でも無い。常に先のことを考えなければならない。まあ、日本の政治が本当に将来のことを考えているかどうかは、様々な問題が先送りになっていることを見ると微妙だけど。

いろいろ疑惑もあった。積み重なったものがあって、「 今度は許さねえぞ。 」 という空気になるのは分かる。でも、そもそも今までの疑惑も検察が動いていない。収賄容疑で動いていないものがどうしてこれほど長く問題視されるのか、私には全然理解出来ない。
メディアはどうしても安倍首相を引き摺り下ろして勝利宣言したい。コロナ禍で失敗するのを待っていたが、まずまずの結果で収束しそうだ。ただ、安倍政権のコロナ対策は大失敗、という印象操作することには成功した。今がラストチャンス。そういう流れに見えてしまう。

「 安倍政権 」 「 野党 」 「 メディア 」。
安倍さんには幾つか不満はある。野党とメディアはあまり信用していない。野党の中でも、維新は信用している方。維新はこの法案に反対の立場は示していないので、それなら特に問題は無いのかなと。
「 看過すると、ナチスみたいに独裁政権になって、とんでもないことになるぞ 」 とメディアは言う。ただ、これこそ恐怖心を煽る印象操作であることは分かる。現実に即さない、大仰な脅しにウンザリ。第一、コロナ騒動で、安倍さんはヒトラーどころか頼り無い首相であることも分かった。これはこれで問題だけど。憲法改正も遅々として進まず、イメージと裏腹に防衛費も全然増えない。メディアとは見解が違うけれど、確かにコロナ禍が収束したら、退場してもらっても良いとは思う。

* * * * * * * * * * * * *

今回の騒動では、多くの芸能人が政権を批判する声を上げた。普段政治的な発言をしないタレントも。そして、叩かれた。そこで起きた嘆き。
「 芸能人には自由に発言する権利は無いのか? 」
そんなことはない。禁止法がある訳でも無い。ただ、著名人の発言は、たとえそれが何の気なしに放った意見だったとしても拡散する。そして、思わぬ影響力を持つことがある。だから、留意しなければならない。

この問題では、よくハリウッドスターが引合いに出される。彼らは自分の政治的立場を明確に主張している。ただ、批判も享受するし、リスクマネージメントしている。CM出演しないし、ボディガードも付けている。お気楽に自己主張している訳ではない。
アメリカは信仰の自由を求めて新大陸に渡った人たちが作った国。それ以外にも、様々なベースを持つ人たちが様々な事情でやってきた。無理矢理連れてこられた人や不法入国した人も。「 オレはオレ、キミはキミ。違うけれど認めよう 」 集団より個人の意見が尊重される。彼らには彼らの歴史と文化があり、己の尊厳を掛けて政治的発言をしている。

日本で自由に発言する慣習が無いのは、その土壌が無いから。極東の島国には近代以前、侵略されたことも外征もほんの数回。外圧の無い、ほぼ日本人だけの島。村社会では個々の自由より集団の利益が優先される。意見は画一化されマイノリティは疎外される。アメリカとは根本が違う。「 自由な意見 」 の優先度は低い。それを尊重しようとすれば、軋轢はあるだろう。

* * * * * * * * * * * * *

自由 = 野放図では無い。好き勝手やって良いということでは無い。自由は責任の上に成り立っている。最近、それが蔑ろにされていると感じる。影響力のある立場なら尚更。芸能人も然り。
とても重要な権利。安易に得られると思ったら大間違い。手に入れたいなら戦うべき。ハッシュタグを付けて他人の意見に乗るだけなら止めた方が良い。「 赤信号、みんなで渡れば怖くない 」 みたいだから。堂々とツイート、ブログ、動画、どのような媒体であれ、自分の言葉で表明するべき。「 米国では許されるのに日本では許されない 」 なんて泣き事言うくらいなら、最初から止めた方が良い。自由は与えられるものではなく、得るもの。日本人自らが育てていかなければならない。

一方、意見の受け手側には賛成・反対を表明する自由がある。しかし、批判する自由はあっても、中傷・脅迫する自由は無い。それは言論の自由には含まれない。全く論外。自由は常に責任を伴う。同じく、報道の自由にも責任が伴うはずなのだけど、そうではないように見える。垂れ流される無責任な報道。「 言論の自由 」 の最たる担い手のメディアがこれなのだから、無責任な言論が流布されるのも無理からぬことだとも思う。

* * * * * * * * * * * * *

「 言葉に責任を持て 」 なんて堅苦しいことを書いてしまったけれど、これは出来ればそうあって欲しいという心掛けのようなものであって、とりあえずは芸能人も一般人も、どんどん発言した方が良いと思う。無責任な放言は良くないが、「 馬鹿は黙れ 」という言論封殺はもっと良くない。特に日本では、集団の利益が尊重されるから、それで委縮してしまう空気がある。玉石混交、様々な意見でまずは言論空間を熟成させることこそ必要だろう。自由な意見の中には混乱を引き起こす扇動者も混じる。騙される人、痛い目に遭う人もいるだろう。しかし、発言、批判、発言、批判を繰り返す中で、意見を見極めるしかない。批判されて痛ければ、一度立ち止まって考え直せば良い。嫌なら止めても良い。でも、自由が欲しいなら、どんなに痛くても続けなければならない。

何かを得ようと思ったら、何かを失う。自然の理。アイデンティティを確立するためにキャラクターイメージが毀損するのであれば、ファンが離れるのもやむを得ない。家族も生活もあるのに、リスクを顧みず、己の尊厳のために声を上げる芸能人の姿勢は尊い。顔・名前、個人情報を晒して表明する意見は、匿名の意見の何倍も価値がある。その勇気と行動力は敬意に値する。

「 日本はこれだからダメだ 」 は聞き飽きた。嘆き節はいらない。日本がこういう状態なのは、それなりに理由がある。変えたいなら動くこと。現在の日本は、個人と集団のバランスで揺れている。集団の持つ強固さへの憧憬と畏怖、マイノリティへの許容と抑圧、雇用者と労働者の関係性、移民受入れ拡大で起こりうる社会変化、集団と個人の価値観が葛藤している。だから、折り合えるポイントを見つけなければならない。欧米の真似ではなく、日本としてのバランスの良いポイントを。討論の場が活性化すれば、無責任な放言は淘汰され、精査された意見が残るだろう。その時は、お互いの意見を尊重する世界が出来るんじゃないかな?

 

生存戦略

 

もし、私が映画監督、あるいは脚本家で、ヤクザ映画を撮るとしたら、最初のシーンで何を描くだろうか。暗殺シーンか、麻薬の取引現場か、あるいは、主人公の不幸な生立ちか。やはり、何かヤクザっぽくて見た目のインパクトあるシーンを作るだろう。残念ながら私は凡庸だ。コッポラにはなれない。

ゴッドファーザー
1972年公開 フランシス・コッポラ監督 アル・パチーノ主演
【 未見で、鑑賞予定のある方は読まないように 】

* * * * * * * * * * * * *

久しぶりに見た。
ファーストカットはマーロン・ブランドのアップだったと記憶していたが、違った。ブランド演じるビトー、ドン・コルレオーネに陳情に来た男の顔だった。彼は切々と訴える。 ― 娘がチンピラに大怪我を負わされた。逮捕されたが、無罪放免。お願いです。奴を始末してください。金なら幾らでも払います ― しかし、ビトーの返事はつれない。― 金はいらない。君が本当に友人なら、喜んでそのチンピラどもを叩きのめすだろう。君とは古い付き合いだが、最近君は私と関わり合いを避けるようになった。君は友人か? ― 男はビトーに忠誠を誓う。

そこはビトーの娘コニーとカルロの結婚パーティ。大勢の人が屋敷に入り、飲んで歌って踊って、賑わっている。ビトーの元には、前述したような、公に出来ない裏の世界の相談が舞い込んでいる。FBIは屋敷外で訪問者の自動車のナンバーをチェック。新聞記者はゴシップ探しに群がっている。華やさの裏側でコルレオーネ・ファミリーの暗い側面が見えてくる。
人気者の歌手ジョニーも現れた。黄色い声が飛ぶ。主人公、ビトーの三男マイケルのガールフレンド、ケイも喜んでいる。好奇心で、どんな縁なのか問うケイにマイケルは冷静に答える。― ジョニーが売れ始めて、独立する時に契約でバンドマスターと揉めた。そこで、親父が仲介に乗り出した。すぐに話が付いた。― 「 どうやって解決したの? 」 ケイは無邪気に訊く。「 ・・・ 頭に拳銃を突きつけて、命か契約解除か選べって 」 ケイは言葉を失う。

長めの結婚パーティシーンの後、舞台はハリウッドへ。ジョニーの頼みで、彼の出演を拒む映画プロデューサーの説得に向かった。しかし、私怨もあるようで頑として受け付けない。一旦交渉をあきらめたように見えた。
ある日、プロデューサーが目を覚ますと、体中血でべったり。しかし、彼自身は怪我していない。シーツの中に何かある。恐る恐る探ると、それは彼の愛馬の生首だった。屋敷中に彼の叫び声が轟いた。
後日、ジョニーは映画の主役の座を得た。

* * * * * * * * * * * * *

ここまで、まだ誰も死んでいない。馬が一頭死んだけど。でも、ファミリーの恐ろしさが漂う見事な導入部。この後、血で血を洗う、“ 真っ当な ” マフィア映画の世界に入っていく。麻薬を巡るトラブルがあり、ビトーが撃たれ重体、コルレオーネはタッタリア・ファミリーとの抗争に入る。ファミリーの後継ぎ、長男ソニーも射殺された。ビトーが堅気にしたかったマイケルがファミリーの後継ぎに。回復したビトーは一旦手打ちをして、次の抗争に備える。まずはマイケルに帝王教育。そして、ビトーは晴れた日に孫と遊びながら、天寿を全うした。

マイケルは教会で、コニーとカルロの子供の名付け親“ ゴッドファーザー ” として、参列する。この“ ゴッドファーザー ” には、その子の将来に渡って、見守るという立場があるようだ。この厳粛な教会のシーンとカットバックして、敵対するマフィアの幹部たちが、マイケルの配下によって殺される。邪魔者を一掃して、コルレオーネ・ファミリーは戦争に勝利した。
そして、戦後処理。裏切者の粛清。敵のバルジーニと通じていた古参のテシオ。そして、妹コニーの旦那カルロ。彼の子供のゴッドファーザーになったばかりなのに、彼を処分した。

ラストシーンが印象的。
「 あなたがカルロを殺したの? 」 とケイはマイケルに問う。ケイはいわゆる「 極妻 」だが、一般的な感覚の持ち主で、マイケルの価値観についていけない。遠い存在のように感じ始めている。その問いにマイケルは顔色も変えずに「 NO 」 と答える。ケイは一旦ホッとする。しかし、すぐ疑念に変わる。マイケルの部屋では、新たなコルレオーネ・ファミリーの門出。マイケルは「 ドン・コルレオーネ 」 と呼ばれている。そんな彼らをケイは不安な面持ちで見つめる。二人は別々の部屋にいる。二人の間には距離がある。ケイの視線を遮るように、扉は閉められて、映画は終わる。

* * * * * * * * * * * * *

邦画には、時々、麻薬にも売春にも手を出さない、義理人情に厚く弱者を助ける「 良いヤクザ 」 が登場する。用心棒代で糊口を凌いでいるが、商店街の人たちは気前良くショバ代を払い、街の人たちからも慕われている。なにやらファンタジーな雰囲気が漂う。そんなヤクザはいないだろうと思うが、私はその道に詳しい訳では無いし、暴力団も元を辿れば、港湾労働者のまとめ役や町の顔役だったことを考えれば、ひょっとしたら、今でもそういうヤクザが存在するのかもしれない。

しかし、この映画で描かれるのは、善悪を超越した生々しい生存戦略。ビトーが麻薬を嫌うのは良心からではない。麻薬を扱うと、子飼いの政治家も離れていくから。しかし、その考えは時代遅れとなりつつある。その軋轢が他団体との抗争を生む。重体から復帰したビトーはタッタリアと手打ちする。しかし、それも平和のためではない。黒幕を突き止め、後継者マイケルを育てるための時間を稼ぎ、次の抗争に備えるため。ビトーが思い描いたファミリーの未来像は、後継ぎソニーが死んだことで大きく軌道修正。次男のフレドがその器ではないことは分かっている。本当は表舞台に立たせるつもりだったマイケルを後継ぎに。しかし、元々理知的で度胸もあるマイケルは向いていたようだ。マイケルは黒幕バルジーニとの抗争に勝利する。ビトーは生温い部分があったが、マイケルは冷徹。しかし、方向性は同じ。常にファミリーの存続優先。そのためには非情にもならなくてはいけない。妹の夫でも始末する。妹が泣くことは分かっていた。しかし、将来の禍根は断たねばならない。
組織存続の戦い。組織の死は彼ら自身の滅亡を意味する。獲得したものとその代償。コルレオーネ・ファミリーは世代交代を乗り切り、より大きくなる。しかし、そのためにマイケルは大事なものも失っていく。哀愁漂うメロディがとても切ない。

 

現在の状況 その2

 

トランプ大統領は「 コロナは真珠湾911より酷い 」 と発言した。いつまで経ってもパールハーバーは引合いに出される。もちろん非難の矛先は中国で、日本では無い。趣旨は分かるが、日本人としては引っかかる。大統領は戦後生まれ。真珠湾攻撃を直接知る訳も無い。それでも言われるということは、これから50年、100年、アメリカで何かある度に引合いに出される。

アメリカのコロナ禍の死者は8万人に迫る。GW前には5万人超だったので、この2週間で、3万人増、1日2000人くらい亡くなっている。ベトナム戦争アメリカ人戦死者が約6万人で、これを超えた。ちなみにアメリカの戦没者は、WWⅠ ― 11万、WWⅡ ― 29万、南北戦争 ― 50万。

アメリカのマクドナルドで、客席閉鎖に激怒した女が店員を銃撃して、負傷させた。スーパーの警備員が、マスク未着用の客を注意して射殺された事件もあった。なるほど銃が売れる訳だ。自分の思い通りにならなければ撃つ。おっかねえ国。
感染が収まっていないのに、経済再開。コロナ対策チームも縮小。すげえ決断だと思ったら、すぐに撤回、対策チーム存続。死者の見積もりを10万人から6万人へ下方修正していたが、13万人に上方修正した。かなり錯綜している。大統領は自分流に攻め込むのは得意だが、予期せぬ事態への守りには弱いらしい。現状を読み違え、仲間割れを起こし、迷走し、憎悪を煽り、敵を過小評価する今のアメリカはダメダメな国。

* * * * * * * * * * * * *

南アフリカでも経済再開の動き。現在、感染者は5000人、死者は100人。3月末からの都市封鎖で抑制出来ている。しかし、予断は許さない状況。拙速に経済再開するのは、貧困層が行き詰まってきたため。暴動や略奪が発生し、治安維持に当たる軍との衝突も起きている。経済にゆとりがないと完全封鎖は出来ないということか。アパルトヘイト廃止後、未だ解消されない人種間格差が根底にある。学校が襲撃されて備品のパソコンなどが奪われ放火された映像は衝撃的。刹那主義、未来のことなぞ知ったこっちゃ無い。国民融和の象徴・スプリングボクスが優勝したばかりだというのに。故マンデラ元大統領も嘆いているだろう。

ドイツの対策が称賛されている。長年問題視されてきた過剰な病床数、ICUがこのコロナ禍では逆に作用したとの記事。しかし、感染者16万人、死者7千人。確かに英仏伊西などに比べれば少ないが、これだけ死者が出て、なぜ称賛されるのか、意味不明。結果に係わらず、為政者が明確な指導力を発揮した国の方が評価されるらしい。併せて、大量に検査して軽症者でもカウントして次々に回復したように見せる国も褒められるようだ。きっと、本当に感染拡大阻止に成功したアジア・オセアニア、カリブ諸島の国なんて褒めたくないのだろう。欧米先進国総崩れの中、本家・西欧白人様の1カ国でも褒めておかないと示しが付かない。「 ドイツを見倣って、これからの感染症に備えて過剰な病床数を準備しておきましょう 」 とでも言うのかなあ?

ウィルス軽視の代表者、ブラジル・ボルソナロ大統領。スウェーデン首相はそんな放言はしない。しかし、方向として両国は同じ。それなのに、ブラジルは無知、野蛮に見えて、スウェーデンは知的でお洒落に映るから不思議。国のイメージって大事だ。ネット記事でも前者には批判的、後者には好意的。でも、現実の結果は似たようなもので、感染者、死亡者、両国共にハイレベル。ウィルスは国際的評価に関係無く、平等に訪れる。同じくウィルス軽視発言の大統領を持つベラルーシでも感染拡大中。人気のアイスホッケー選手も重症らしく、国民には静かに恐怖が広がっているようだ。しかし、外出禁止・自粛などの措置は無く、戦勝記念日の式典も予定通り開催された。隣国ロシアにも招待状を送ったが、ロシアはパンデミック真っ最中。「 ベラルーシって、頭が古いんじゃない? 」 という返事でベラルーシ側は激怒しているらしい。

そのロシアの首相も感染。今年1月に任命されたミシュスチン首相。ミシュスチン、ものすごく言い辛い。最近の民放アナに言えるかな。
3月は余裕だったが、4月に感染拡大。3月末から都市封鎖しているが、止まらない。他の閣僚も感染、医療用防護具の不足、人工呼吸器の老朽化、相次ぐ医者の転落死など悪いニュースが立て続けに報じられている。5月9日に予定されていた戦勝記念日のイベントも延期。戦後75年、プーチン大統領就任20年で気合の入ったイベントになるはずだったが、この状況では已む無し。感染者20万人、死者2千人。感染者ランキング上昇中。ホットスポット。更に経済も苦しい。国家歳入の4割、主力商品の原油が需要激減で価格暴落。世界の需要回復するまで、しばらくかかる。主要国の中で、一番経済のダメージが大きいのでは?

* * * * * * * * * * * * *

陰謀論は好きではないけれど、20世紀の大国がバタバタ倒れていく様を見ていると、本当に中国の陰謀を疑いたくなる。分断が加速するアメリカ、空中分解しそうなEU、強権体制の終焉になるかもしれないロシア。戦後日本が憧れ、畏れた国々が醜態を晒している。

21世紀、覇権交代の転機になるのか? 
以前から喧嘩腰のトランプ大統領は別にして、欧州も中国と戦う姿勢と報じられているが、経済的支援を受けながら批判出来るのかな? 欧米が中国を窘めることが出来るなら、それに越したことはないけれど、今の彼らは頼りない。5Gでも欧州は華為を排除出来なかった。西洋人の矜持が試される。
アイデンティティを見失い、満身創痍で銃を構えようとするアメリカとコロナ終息後に内輪揉めが起こると思われるEU。対する中国は、市民の不満を封印して、ミッションコンプリートで国威発揚の空気を醸造した。アメリカは多様性とバイタリティを愛国心で束ねて、今までも国難を乗り切ってきたけれど、今回はどうでしょう?

日本は中国と正面衝突を避けつつ、友好ムードを作りながら、警戒する必要がある。「 中国に強硬姿勢を 」 と言う人がいるけれど、それは欧米の助力が当てになる場合の話。虎の威ってやつ。でも、肝心の虎の着ぐるみは艶を失った。単独で中国と立ち向かう度胸なんて、今の日本には無い。
些末な問題で、国内で揉めている場合じゃない。辛抱する時に辛抱して、さっさとコロナ禍を終わらせる。幸い、日本は内需底堅い国。貿易に頼る韓国とは違う。国内さえ収束できればなんとかなる。とりあえず、日常生活を取り戻す。そして、コロナ後の世界を俯瞰する。

今こうしている間でも中国軍は尖閣諸島で領海侵犯を繰り返している。コロナ禍の裏で休みなく続けているらしい。仕事熱心なことで。割安となった外国の資産に次々と手を伸ばしているという話もある。
中国は気を許してはいけない国。しかし、完全に敵対してはいけない国。アジアの国々は皆分かっている。アメリカに頼り切って惚けているのは日本だけ。自存自衛の精神も無い日本など、中国の敵では無い。どうすべきなのか、本当に考えた方が良い。

 

※ フランスでも、国民にマスク2枚支給。おフランス様がやると、馬鹿にしないらしい。まあ、肝心の「 アベノマスク 」は4月頭発表で、1か月経つが、支給が滞ったまま一向に届かないけれど。 

 

現在の状況

 

静かなGWだった日本。連日「 人の消えた街 」 を映し続けた。感染者はじわじわ増え続けているが、ピークは越えた。医療崩壊を起こすこともなく、数字を見れば、まずまず。状況は悪くない。しかし、安倍政権はマスクとゆとり動画で求心力を失い、国民は緊急事態の延長、「 明けない夜明け 」 にイライラし始めた。どうにも嫌な空気。暴動が起きないだけマシだけど。

* * * * * * * * * * * * *

振って湧いたように、「 9月入学 」 の提案。「 どうせ登校出来ないなら、思い切って9月開始にしちゃったら 」 という感じ。
国際社会が9月開始で歩調を合わせる中、以前から4月開始のデメリットが問われていた。しかし、議論は進まなかった。それがコロナ騒動のドサクサに紛れて「 この際だから、やっちゃおう 」。

絶対に「 世界に日本も合わせなきゃ 」 って訳では無い。例えば、他に「 死刑制廃止 」 「 大麻合法化 」 「 移民受入れ 」などの問題。まあ、これらは世界ではなく欧米基準だけど。日本には独自の判断があって良い。
しかし、「 4月入学 」 は明らかにデメリットの方が大きい。国外に出る人、日本にやって来る人の流れを考えれば「 9月入学 」の方にメリットがある。欧米は基より中露すら、「 9月入学 」。圧倒的世界基準。「 4月入学 」 が変えられないのは、「 今までそれでやってきたから 」 「 日本企業が4月開始だから 」 だ。でも、企業の会計年度などいくらでも変えられる。要は変えるのが、面倒なだけ。「 議論を尽くして 」 なんて声もあるが、今まで「 議論を尽くした 」 ことなんてあるか? 誰かが決断しなければ、ずっと「 4月入学 」 のままホッタラカシ。だったら、思い切って変えてしまうのも良いかもしれない。
ただ、コロナ禍中で準備出来るのかなあ? やるとなると現場は大混乱だろう。ごくろうさま。

* * * * * * * * * * * * *

4月当初、愛知県・大村知事は厚労省に「 愛知県は大丈夫 」 と口を尖らせて文句を言ったかと思うと、「 やっぱり緊急事態宣言対象地区に入れてくれ 」 と泣きついた。本当にボンクラ。北海道や大阪の知事は指導力を発揮して、現状把握の上に立った適切な対策を行っていて本当に羨ましい。しかし、結果だけ見ると、なぜか愛知の方が阻止に成功している。
3月の段階で、北海道と並んで感染者数のツートップだった。しかし、急加速した東京・大阪、その近隣県、北海道から引き離され、福岡にも抜かれ、現在9位。死者数もトップスリーから外れた。GW中の新規感染者は連日片手で収まる。初期の混乱を切り抜け、抑制出来ているようだ。
愛知といえば、保守的な県民性と管理教育で、そのあたりも関係あるのかなあ。大村知事の功績かどうかは不明だが、成果が出ているなら評価すべき。トップに立つ者には責任と決断があるから。

* * * * * * * * * * * * *

ネットでキレまくるホリエモンこと、堀江貴文氏。経済優先、相応の感染対策で充分と訴える理屈は間違っていない。そのイベントでの対策にも誤りは無いのだと思う。しかし、「 オレは対策をキチンとしているのだから経済活動してもいいだろ 」 と個人個人が勝手に動き出したら、必ず穴が出来る。すべての人が対策に協力的という訳でも無い。パチンコ店の事例をみれば明らか。「 ウィルスなんて気にしない。毎日の楽しみの方が大事 」 と対策を蔑ろにする人はいる。覆ったウィルスは盆には返らない。彼だけ特別に許可することは出来ない。

企業経営者は時流を掴むために柔軟な思考と判断が必要のように思う。持論に拘り、大衆を愚弄するこの方は、状況が見えなくなっているらしい。経営者というより啓蒙家・扇動者かな。明らかにサイコパス。自己中心的で、他人の痛みが分からない。巧みな弁舌とカリスマ性で人心を惑わす人。恐れを知らず突き進む人でもあるので、惹かれて導かれる人たちもいる。
私は彼の船には絶対に乗らないけれど、乗りたい人は気をつけて。

* * * * * * * * * * * * *

人権を軽視してでも強権的手法を取った方が、感染阻止に有効なことがはっきりしてきた。韓国はその成功例の一つ。日本と同じく都市封鎖しなかったが、感染者の管理には積極的な情報公開、GPSも利用して監視した。併せて、隔離措置違反での逮捕も。検査数の多さばかり取り上げられるが、この強権体制とセットだろう。日本のメディアは「 人権優先 」 を訴えながら、韓国を見倣えと矛盾したことを言っている。結局、彼らは口当たりの良い事、都合の良い切り取りしかしない。八代弁護士はTV番組で、韓国の手法についてきちんと強権的な部分も言及したようだ。これこそメディアのやるべきことだろう。

日本政府は「 人命 」 「 経済 」 「 人権 」 どこにも角が立たないように、八方美人的にすべてを丸く治めようという、出来るだけ穏便な、実に日本的なやり方を選択した。リスク回避のイイトコ取り。ただ、仕方が無い。だって、日本人自体がデメリットに目を逸らす、選択出来ない民族なんだから。
外出禁止と違反者への罰則が無い「 優しい国 」。マスク着用すら義務化出来なかった。同調圧力と自粛警察があるから、ぎりぎり持ち堪えている。自粛警察はやり過ぎとの批判もあるが、これが無かったら、もっと事態は深刻になっていただろう。本当は国の強権的支配が無くても、自粛警察が無くても、国民個々の高い意識で乗り越えられたら良かったのだけど、やはり無理なようだ。

ある程度の成果はあった。「 お願い 」 という緩い縛りだけでここまで出来たのは、まずまずと言える。最悪の事態にはならない見通し。でも、耳触りの良い美辞麗句では、危機対応で後れを取ることははっきりした。欧米よりマシ、なんて下を見るのは止めよう。韓国は上手くやった。青瓦台は選択し、決断した。そして、今月頭には、経済活動を再開した。褒め称えるつもりは無いが、事実は事実。日本政府が出来なかったことだ。
1か月の差が出た緊急事態解除と管理・強権体制。日本と韓国の手法と結果の違い。得たもの失ったものを秤にかけて、どちらがベターだったのか。これについては、見解が分かれるとは思うが、私は韓国の人権制限、強権的措置は正しかったと思う。何かを犠牲にしてでも、選択すべきものを選択して速やかに事態を収束させた方が良い。頭を下げて教えを請う必要は無い。歴史問題で妥協する必要も通貨スワップに応じる必要も無い。最近の韓国の態度を許容することは出来ない。しかし、見倣うべきは見倣おう。日本も個人情報の集束・管理を促進した方が良いと思う。災害大国であり、人口縮小で外国人労働者に門戸を開いていく日本には必要なはず。

今から方向転換する必要は無い。現在の政策をゆるゆると今月半ば、または月末まで続けるだけ。過ぎたことをガタガタ批判しても仕方が無いが、検証はすべき。政権は判断、指導力を問われるだろう。課題は、この経験を今後どう生かすのかということ。

 

tomorrow

 

The sun’ll come out tomorrow
Bet your bottom dollar that tomorrow
there’ll be sun 
Jus’thinking about tomorrow
Clears away the cobwebs and the sorrow till there’s none

When I’m stuck with a day that’s gray and lonely
I just stick out my chin and grin and say Oh!

The sun’ll come out tomorrow
So you got to hang on till tomorrow come what may !
Tomorrow, tomorrow, I love ya tomorrow
You’re always a day away !

When I’m stuck with a day that’s gray and lonely
I just stick out my chin and grin and say Oh!

The sun’ll come out tomorrow
So you got to hang on till tomorrow come what may !
Tomorrow, tomorrow, I love ya tomorrow
You’re always a day away !

Tomorrow, tomorrow, I love ya tomorrow
You’re always a day away !

ミュージカル『 Annie 』 より「 tomorrow 」

 

【 和訳 】

明日になれば太陽が昇る
明日になれば絶対に太陽が昇ってくるの
だからただ明日の事を考えるわ
もやもやと悲しみが吹き飛んでしまうまで

憂鬱と孤独で行き詰ってしまう1日だったとしても、
私は顔を上げて笑って言うの

明日になれば太陽は昇る
だから頑張らなきゃ
明日まで何があろうとも
明日、明日、大好きなの、明日が
あなたはいつも1日先にいる

憂鬱と孤独で行き詰ってしまう1日だったとしても、
私は顔を上げて笑って言うの

明日になれば太陽は昇る
だから頑張らなきゃ
明日まで何があろうとも
明日、明日、大好きなの、明日が
あなたはいつも1日先にいる

* * * * * * * * * * * * *

若い時、この手の「 辛い事があっても、希望を持って頑張ろう 」 のような曲が大嫌いだった。嘘くさくて偽善的だと思った。ヒネくれた若造だった。だけど、最近こういう曲を聴くと泣けてくる。「 トゥモロー、トゥモロー 」 と口ずさんでしまう。アラフィフのおっさんが、少女の歌で泣いているのも気持ち悪いものがあるので、大っぴらには言えないけれど。いろいろあるけれど、明日も頑張ろう。

 

GW前の状況

 

明後日からGW突入。しかし、これほどGWらしくないGWも初めて。
海外旅客便が無いから、例の海外脱出組のインタビューも無い。高速道路の渋滞予測も中止。発表により、逆に渋滞推進になるかもとの理由。乗車率200%、毎年ギュウギュウの新幹線だけど、今年の予約率は10%未満。当日になったら、「 ガラガラなら大丈夫じゃない? 」 って、乗客が押し寄せるかも。この状況でも旅行に行く人は行く。「 来ないで 」 と言いながらホテルも開業している。ただ、観光施設は休業ばかり。旅行しても面白いのかなあ。交通・宿泊費を浪費するだけ。里帰りしても田舎のジジババも困るだろう。

* * * * * * * * * * * * *

20日のNY商業取引所で、米国産WTI原油先物価格が史上初のマイナス。原油買ったらお金貰えるってこと? そんな馬鹿なと思ったが、どうやらそういうことらしい。需要激減で、原油が売れず供給過剰。貯蔵タンクもパンパン。引き取ってくれるなら金を出しても良い。皆が欲しがる原油、無いと困るのに今は邪魔物扱い。前代未聞のコロナ騒動。いろいろ変わった現象が起こる。

アメリカの死者は5万人超え。大統領は死亡者予測を10万人から6万人に下方修正したけれど、もうすぐ届きそう。まだ感染が収まっていないのに一部では都市封鎖に反対するデモ。そのデモは封鎖解除に反対するデモと激突。まさに分断するアメリカ。マスクも付けず至近距離で罵倒合戦。両者ともに事態を理解しているのかなあ? 一部の州では、経済活動を再開したとのこと。3億人の2%は600万人。どこまで突き進むのか。

ベルギーの死者が7千人。人口1000万の国で、人口比では「 世界最悪 」。しかし、この報道にベルギー政府は反論。統計をより厳密に取っている結果と主張。それを言ったところで、状況が悪いことは間違いないし、死者が減る訳では無いが、国外の報道機関の難癖に反論する姿勢は立派。日本も見習った方が良い。クルーズ船の時も言い分はあったはず。

周辺国が都市封鎖したのに、北欧スウェーデンでは通常の経済活動を送り、集団免疫獲得の見通しが付いたとの報道。「 作戦成功 」 的な伝え方だが、人口1000万人の国で、死者は2000人。日本の人口は10倍なので、当て嵌めれば20000人の死者。確実に安倍政権は崩壊する。

アメリカや西欧に比べれば、ロシアの感染は深刻でもなかった。他国に「 医療支援 」 なんて余裕の姿勢を見せていた。( 実際には軍隊派遣で敵状視察とも言われている。 ) でも、足許に火。感染拡大中。感染者8万、死者700人。憲法を変えて、さらに任期を伸ばそうとしていたプーチン大統領。しかし、対応を誤れば、どうなるかは分からない。

世界を見渡せば、コロナ禍対策は、強権発動で監視を強化、国民の不満を抑え込んで統制する国の方に軍配が上がった。ただ、そんな国でも苦戦はしている。管理国家シンガポールは早めの対応で、拡大阻止した。しかし、劣悪な三密環境の移民労働者から感染者急増、1万人を超えた。4月半ばには、危機管理の国イスラエルでも足許のユダヤ教超正統派から感染拡大した。コロナウィルスってすごい。国家の弱点を突いてくる。

世界の話題はコロナ。でも、北朝鮮の話題は、金正恩死亡説。手術後、重篤な状態との噂があり、重要な祝日「 太陽節 」 にも姿を現さなかった。中国医師団派遣や専用列車、いくつか状況証拠も出てきた。本当に死んでいるかもしれない。でも、正直なところ、どちらでも良い。いてもいなくても面倒臭い。36歳での死亡は通常なら「 まだ若いのに 」 と惜しまれるが、そんな声も無い。それもそうか。

「 ヨーロッパは一つ 」 理想の下に結成されたEU。では、コロナ禍に結束して対処したかというと、そうでもない。瀕死のイタリアに対して、独仏は金・物資の拠出も拒んだ。終息後、イタリアは、「 君たちは助けてくれなかった。しかし、水に流して、これからも協力していこう 」 と言える寛大な心を持っているのかなあ? 

役立たずのWHO、そして国連。「 拠出金を停止しろ 」 なんて声もあるようだけど、日本が国際機関に背を向けることは出来ないだろう。1933年の国際連盟脱退後、痛い目に遭った記憶が深く突き刺さっている。1年前の国際捕鯨委員会脱退で、国内メディアは「 戦前の日本と同じ。軍国主義復活だ! 」とヒステリーを起こした。たかが鯨のことで。でも、確かに国際協調の中で、ぬるま湯の気楽さと孤立する怖さはある。アメリカのように、「 我が道を往く 」 潔さは日本には無い。「 日本のトランプ 」 は生まれない。
国際協調は重要。でも、それが唯一無二の正しさだとは思わない。戦前・戦後の価値観における単純な善悪二元論から脱却しない限り、日本は変わらない。

* * * * * * * * * * * * *

俯瞰してみると、コロナ禍によって世界の国々は試されているようにも映る。強味を見せた国、弱点を晒した国。ひょっとしたら、中国の研究所から故意にウィルスが漏らされたという陰謀論は間違ってはいないかも。「 誰が一番得したか 」 という推理小説みたいな視点に立てば。
欧米はガタガタ。さらに分断が進んだ。国際機関は信用を失い、途上国への援助も儘ならない。これが、欧米先進国の弱点を突いた中国の作戦なら、見事に的中。中国は逸早く立ち直り、世界に援助して地位向上を計っている。ただ、尊大な態度は顰蹙も買っている。反省と殊勝な態度を表せば良かったのに。「 援助したから感謝しろ 」 では、感謝されない。

ギリシャ、ローマ、モンゴル、スペイン、イギリス。大国は勃興して衰退した。次はアメリカかもしれない。
なんて、ただの空想。米中どちらが勝つか、私の凡庸な頭では予測出来ない。イデオロギーやバイアス、感情、願望を可能な限り排除して、現実を見るだけ。どっちが勝ってもいい。どっちも正義を振り翳した「 オレ様 」の面倒臭い国だ。日本としては、対応を誤らず、したたかに対処することを願う。
アメリカは憎まれたけれど、愛された。中国はどうかな? 

* * * * * * * * * * * * *

岡江久美子さん逝去。63歳。
元気で明るい芸能人の死は心が痛い。誰が感染して亡くなってもおかしくないので、特に驚きはない。メディアの緩い対策を見れば尚更。岡江さんの遺骨と大和田獏さんのコメントを報道するために、玄関前に報道陣が殺到したらしい。もう呆れるしかない。娘の美帆さんには幼い子供がいる。彼女に感染しなかったのは不幸中の幸い。

緊急事態宣言は5月6日まで。解除するのか、延長するのか。
最近、民放テレビのニュースを見ないので、詳しくは分からないが、今でも政府批判で吠えている人たちがいるようだ。やれやれ。自粛要請を無視したパチンコ店の名前を公表したくらいでガタガタ騒ぐなよ。管理国家なら逮捕と営業許可剥奪だ。日本の収束はしばらく先になりそう。

政府の方針云々なんて、今は批判したくない。ただ、2月初めから検査数とマスク不足は全然改善されない。今更「 政府は高額マスクの対策強化へ 」 って遅過ぎ。今こそ出番なはずのマイナンバーが活用されることも無い。
政府は何をしたのか、どんな思惑があったのか、誤算で打てない手があったのか。コロナ終息後には、きっちり説明責任を果たしてもらいたい。

私はこれから一週間、出来ることをやるだけ。必要最低限の外出以外は、家で大人しくする。幸い、私の周辺の市町村では、それほど深刻な事態でも無い。それでも感染したら、神様仏様お医者様に身を委ねる。人事を尽くして天命を待つ。
次の更新はGW明け。生きていたら、再開しよう。